SSブログ

悲劇の英雄・岳飛 中国の男性版ジャンヌ・ダルク [心意拳の祖 英雄・岳飛]



中国最大の英雄・岳飛をジャンヌ・ダルクに例えるのは色んな意味で不本意だが、
その救国の功績と不条理で悲劇的な最後は似ているので分かりやすいと思う。


岳飛(1103年3月24日~1142年1月27日)は、忠臣蔵のように民衆に愛されて伝えられ
てきているが、その生涯は、源義経のような英雄物語であり、その悲劇的な最後は、自
ら縛に付き刑死した吉田松陰に似ている。


吉田松陰の死が、明治維新のトリガーとなったように、岳飛の謀殺も生々しさを残している
点において、劉邦・項羽、三国志のようなおとぎ話の登場人物とは一線を画しているのが
岳飛である。


戴氏心意拳の伝説上の祖を中国史上最大の英雄・岳飛とする。
事実上の心意拳の中興の祖は『姫際可1591~1677』になる。


神槍・姫際可(きさいか)は、古寺に眠っていた悲劇の英雄岳飛の武術秘伝書
を発見して、10年の研究の末、英雄・岳飛の武術を『心意拳』として復活させた。
後に科挙に首席合格して高級官僚にまで上り詰めた文武両道の天才であった。




岳飛は、ジャンヌ・ダルクのように、金国の侵攻を受けた南宋を救国した英雄であり、
精忠報国』の信念のもとに峻烈に戦い、忠義のために無抵抗のまま奸臣に謀殺された精忠
の英雄が岳飛である。

岳飛の背中には、母親に入れられた『精忠報国の刺青』があったという。


岳家軍には、『牛皐(ぎゅうこう)』という三国志の張飛に例えられる豪放磊落な副長が
いるが、キャプテンハーロックと大山トチローを連想させる凸凹コンビである。
ストイックに鉄の信念の元に生きるハーロックと偉大なる大怪人トチロー。


岳飛の悲劇性は、マンガ「ベルセルク」において栄華を極めた鷹の団長グリフィスが、
失意の内に囚われ、凄惨な拷問を受け再起不能にされるシーンを想起させる。常勝将軍
の鷹の貴公子が、痩せ衰え、舌、手足の健を切られ、顔の生皮を剥がされても尚、凄惨
な拷問を受け続けるシーンは、岳飛の受けた拷問そのものだろう。




キャプテン・ハーロックやベルセルクに欠落している忠義の信念こそが、岳飛を悲劇の
英雄として際立たせており、今でも民衆に愛され続けている要因になっている。


ストイックで清廉な精忠報国の常勝将軍が、利己主義の身内の私欲のために妨害された
挙句、無実の罪で拷問の末に殺される。暗君といえども精忠を尽くすのが岳飛である。


岳飛を謀殺した宋の『奸臣・泰檜(しんかい)』は、中国史上最大の大悪党である。
泰檜は、金国と通じて、宋の皇帝を操り、一族以外で優秀な臣は憎悪して排除し、無能な
部下は侮蔑して使い捨てることで、亡くなるまでの20年に渡り栄華を独占して宋に君臨し続け
た完全利己主義の大巨悪だった。


泰檜一族の繁栄を邪魔をする者は悪であり、報国の為に泰檜を論破することも罪であり、
泰檜にとって有益でないものは『全て悪』というシンプルな基準が存在していた。

宋の国民も泰檜に繁栄をもたらすための存在であり、重税は泰檜の臨むところであった。
泰檜は、皮肉にも宋という大国を飲み込んでも微動だにしない底なしの大器を持っていた。


伝説上の大英雄である三国志の関羽と同じ通称である「万人の敵」と称された常勝将軍
韓世忠(かんせちゅう)』と、女将軍と言われた妻の『梁紅玉』も、泰檜によって平民に格下
されて権限と軍事力を奪われた。


心意拳の流れを受け継ぐ、戴氏心意拳、心意六合拳、少林寺心意把、形意拳、意拳、
太気至誠拳法は、大英雄・岳飛のスピリットを受け継いている。




岳飛伝 -THE LAST HERO- DVD-SET3
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン (2015-08-05)
売り上げランキング: 114,733



源義経』は、平治元年(1159年)生誕と、岳飛の死後に生まれているが、平氏滅亡
の大功労者でありながら、兄・源頼朝の怒りを買い朝敵として討伐される悲劇性と、
海を渡り蒼い狼と呼ばれるジンギスカンになった伝説は、次男の岳雷が岳家軍を再建
して、金国の侵攻を撃破して岳飛の名誉を回復させる伝説と類似する。
nice!(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

丹田功 丹田による統一体|- ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。